「1 〜によれば、A及びX2が、Yと競争関係にあること及びYが東芝のいわ ゆる垂直系列下にあって、本件各部品につき、安全性を確保するため必要であるとして、その単体での供給はせず、取替え調整工事込みでなければ右の供給に応じないとしたことが明らかである。
2 そこで、このようなYの取引の方法が、不当な取引制限ないしは不公正な取引方法を禁止する独占禁止法(1条参照)に違反しているかどうか、について検討する。〜10項は、〜を、同15項は、〜を禁止している。ここにいう『不当に』とは、公正な競争を阻害するか否かの有無により判断されるべきである。
ところで、商品の安全性の確保は、直接の競争の要因とはその性格を異にするけれども、これが一般消費者の利益に資するものであることはいうまでもなく、広い意味での公益に係わるというべきである。したがって、当該取引方法が安全性の確保のため必要であるか否かは、右の取引方法が『不当に』なされたかどうかを判断するに当たり、考慮すべき要因の一つである。」 |
「4 〜本件では、特定のエレベーターにつき、現実的な故障が発生し、それに対応した修理部品の供給が問題となったのである。
そこで、右の故障を修理するに際し、本件各部品について、Yによる取り替え調整工事込みでなくては、右のエレベーターの安全性の確保ができないものかどうかの点を検討する。
〜
以上の各事実関係から見ると、A及びX1においては、エレベーターの安全性に関して一定の資格ないしは能力を有しているものということができる。そして、たとえその技術自体がYの技術自体に対比して相対的には劣るとみられるものであったとしてみても、A及びX2は、その技術水準において、本件各部品の単体での供給を受けて、前記の現実的故障を修理するに足りる程度には達していたものであったとみてよい。〜もっともY提出の証拠によれば、独立系保守業者の中には極めて危険な措置をとるものもあったことが認められるけれども、A及びX2がそのような措置をとり、Yがこれを理由に部品単体での供給を拒否したのであれば格別、危険な措置を取った他の業者があったからといって、Yの前記の取引方法が正当化されるいわれはない。したがって、本件においては、Yが本件各部品を単体で供給することなく、取り替え調整工事込みでなければこれを供給しないとし、このような両者一体のもとでの部品供給でなければエレベーターの安全性を確保できないと認めるべき証拠は存しないことに帰するから、Yが、その独自の判断で、Y以外の保守業者に対する本件各部品の単体での供給を拒否するYの取引方法には、独占禁止法上の正当性や合理性はないものというべきである。」 |
| 「5 〜本件で問題とされているのは、独立系保守業者が、自らのストックとして部品の注文をした場合ではなく、東芝製エレベーターの所有者がその現実に発生した故障について修理に必要な部品を供給することを求めている場合であって、メーカーである東芝及びその子会社で東芝製エレベーターの部品を一手に販売しているYが、東芝製エレベーター及びその部品の数・耐用年数・故障の頻度を容易に把握し得ること及びエレベーターの所有者が容易にはエレベーターを他社製のそれに交換し難いのはいわば当然であることを考慮すれば、このような部品を一定期間常備し、必要の都度、求めに応じて迅速にこれを供給することは、右の販売者である東芝ないしYが負うべき、東芝製エレベーターを購入してこれを所有する者に対する、右販売に付随した当然の義務であると解するのが相当である。したがって、Yの右の主張が容れられなかったからといって、Yが独立系保守業者の育成を強制されるものとはいえない。」 |
| 「6 本件各部品とその取り替え調整工事とは、それぞれ独立性を有し、独立して取引の対象とされている。そして、安全性確保のための必要性が明確に認められない以上、このような商品と役務を抱き合わせての取引をすることは、買い手にその商品選択の自由を失わせ、事業者間の公正な能率競争を阻害するものであって、不当というべきである(なお、いわゆるブランド・イメージは、企業の経済的活動の合理性という見地から問題とされることはあり得ても、独占禁止法上の問題ではない。)」 |
| 「7 〜Yの甲事件行為については、まさに前記のようなYの抱き合わせ販売の方針に基づくものであって、これが不当な取引妨害行為に該当するものとみる余地が全くないではないとしても、前記一般指定によれば、右の行為は、その15項にではなく、10項に該当するというべきである。」 |