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本間ゴルフ事件排除命令について
  〜 不当な二重価格表示(判例百選107事件)

 平成13年(排)第1号(株)本間ゴルフに対する件
 公取委平成13.2.28排除命令・排除命令集未登載
2003年2月19日
担当/八木正雄


第1 はじめに
 インターネット上の表示につき,「定価」と販売価格との比較対照を問題として,不当景品類及び不当表示防止法(景表法)による排除命令がなされた事例。


第2 事案の概要
(株)本間ゴルフは,ゴルフクラブの製造・小売・卸売業者であり,自社で製造したゴルフクラブを,直営小売店のほかインターネット上のショッピングモールに開設したショッピングサイトにおいて一般消費者に販売している。
同社は,平成12年6月から同年11月ころまで,ゴルフクラブ16品目の広告を「Yahoo! ショッピング」および「楽天市場」に掲載したが,その中で,実際の販売価格に比べ著しく高い価格を「定価」として表示し,これを比較対照価格として実際の販売価格と併記する二重価格表示を行っていた。

(例)「HONMA BIG-LB NTCM 40 定価 380,000円
特価(または特別価格)138,000円」

しかし,ここで「定価」と称する価格は,それぞれの商品の販売開始時点における自社の直営小売店舗での販売価格であって,定価販売期間が終了した後は定価で販売された実績のないものであり,同社は実際の販売価格が著しく安いかのように見せかける表示をしていた。ちなみに,それぞれの商品の販売開始時期は,広告掲載時期(二重価格表示の開始時期)より13年9ヶ月ないし3年4ヶ月前であり,定価販売終了時期は同じく4年7ヶ月ないし7ヶ月前であった。また,定価販売終了時期以後は,同社が定価で販売したことはない。


第3 命令の要旨
(株)本間ゴルフは,ゴルフクラブ16品目の価格について,実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるため,不当に顧客を誘引し,公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示をしていたものであって,かかる行為は景表法4条2項の規定に違反するものである,とした上で,(株)本間ゴルフに対し,上記表示を行った旨を速やかに公示することおよび今後ゴルフクラブの取引に関し同様の表示をしないこと等を命じた。


第4 評価
本件で問題とされたのは「不当な二重価格表示」である。二重価格表示は,その比較対照価格が不適正なものであれば,消費者の選択の自由が妨げられ,事業者間の公正な競争が阻害されるおそれがあるため,景表法上問題とされる。
公取委は,二重価格表示(を含め,不当な価格表示)に対処するため,平成12年6月,「不当な価格表示についての景表法上の考え方」を公表している。これによれば,本件のように過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示については,同一の商品について,最近相当期間(二重価格表示開始時点から遡及して8週間)にわたり販売されていたとはいえない価格を比較対照価格に用いるときは,不当表示に該当するおそれがあるとされる。本件は,この「考え方」を適用した最初の排除命令である。
消費者にとって最も必要な情報は,二重価格表示開始直前の実売価格であるところ,本件では,定価販売終了時期から二重価格表示開始時期までの期間の価格が全く示されていない。この期間に大幅な値引き販売がなされていた可能性もあるので,典型的な二重価格表示といえる。
本件は,インターネット上の表示について排除命令がなされた初めての事案でもある。
 景表法の制定時にはこのような新規の取引形態は想定されていなかったが,公取委は,平成11年2月に景表法2条2項の規定に基づく告示を改正し,インターネット上のショッピングサイトでの広告も規制対象となることを明らかにした(同告示の2項5号)。


以 上

 

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